パブリックコメント提出(2014年8月24日)

「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」に対する意見

2014年8月24日

内閣官房特定秘密保護法施行準備室「意見募集」係 御中

特定秘密保護法NGOアクションネットワークは特定秘密保護法が国際協力NGOに及ぼす影響を懸念し、NGO活動を阻害することがないよう監視、提言、情報発信を行うことを目的として、全国6つのネットワークNGOが結成したネットワーク団体である。秘密保護法が国際協力活動に及ぼす影響の観点から、運用基準に対して次のように意見を述べる。

特定秘密保護法NGOアクションネットワーク
共同代表:谷山博史、西井和裕

パブリックコメント

1.団体
2.特定秘密保護法NGOアクションネットワーク
共同代表:谷山博史、西井和裕
3.特定非営利活動法人名古屋NGOセンター内
 〒460-0004 名古屋市中区新栄町2-3 YWCAビル7F
4.TEL&FAX : 052-228-8109
Mail : info@nangoc.org(代表)
5.下記意見にて表示
6.意見

1.「Ⅰ基本的な考え方」について
【意見】
国際協力NGOの活動を支えているのは、恒久的な自由と平和と公正を希求する人々の意思であり、それは知る権利と表現の自由が十分に発揮されてこそ可能になる。「Ⅰ基本的な考え方」において基本的人権と報道・取材の自由の尊重の考え方が示されているが、特定秘密の指定、指定の解除、適性評価のいずれの項目においても、基本的人権の侵害、知る権利及び表現の自由の侵害を回避するような構成および内容にはなっていない。市民の知る権利、表現の自由の尊重は民主主義の基本的な要件であり、これが損なわれることによって国際協力NGOの活動を支える市民的基盤が掘り崩される恐れがある。これは特定秘密保護法そのものに内在する本質的な欠陥から生じる問題であり、いくら運用基準を厳格にしても避けることはできない。よって、特定秘密保護法の廃止を含めた抜本的な見直しが必要である。

2.「Ⅱ特定秘密の指定等」について
【意見】
Ⅱ 特定秘密の指定等 1 指定の要件(1) 別表該当性  

1).別表第1号(防衛に関する事項)】について
①紛争地において安全上必要とされる情報が秘匿される恐れ
国際協力NGOは紛争地において人道支援活動、復興支援活動等の活動に従事している。安全確保のために、PKO等によって派遣されている軍隊と治安に関する情報交換を行うことがある。自衛隊の運用に関する情報が秘密指定されることによって、安全確保に必要な情報を得ることが困難になる恐れがある。
②自衛低の違法・違憲な運用に関する情報が秘匿される恐れ
イラク戦争の主要な戦闘後イラク及びクゥエートに派遣された航空自衛隊が憲法及びイラク特措法に違反して米軍兵員及び武器を輸送していたことが名古屋高等裁判所判決において明らかになった。自衛隊の運用が特定秘密指定されることによって、自衛隊の違法・違憲な運用が看過される恐れがある。

別表第1号に規定する事項の定義があいまいであり、無限定に秘密指定される可能性がある。これは運用基準で解消できる問題ではなく、特定秘密保護法そのものの本質に根差す問題である。これを解消するには特定秘密保護法の廃止を含めた抜本的な見直しが必要である。

2).【別表第2号(外交に関する事項)】について
①政府開発援助による被援助国の住民に重大な影響のある情報が秘匿される恐れ
国際協力NGOは日本政府が行う政府開発援助に対して、被援助国の人々の立場を代弁して政策提言を行っている。「別表第2号(外交に関する事項)」において取り扱う情報が定義されているが、抽象的な文言が多用され、具体的な秘密事項を特定するに至っていない。これにより、被援助国住民の生活に重大な影響を及ぼす可能性のある重要な情報が秘匿され、援助事業の改善・改革に必要な政策提言活動が阻害される恐れがある。
②誤った戦争や回避可能な戦争に関する情報が秘匿される恐れ
戦争は外交の敗北といわれるように、戦争に至る以前の外交交渉に関わる情報は戦争の是非の判断において不可欠のものである。本年7月1日の閣議決定において武力行使が容認されるとされた集団的自衛権の行使、集団安全保障の武力を伴う措置、テロ対策及び治安支援活動では憲法で禁止されている日本の武力行使によって日本が戦争に巻き込まれる危険性がたかい。戦争に至る経緯や戦争回避の可能性についての情報が国民に秘匿されることは国民の生命・財産の権利に対する侵害に当たるものである。またイラク戦争が誤った情報によるものであることが明白になったことから、日本政府によるイラク戦争の検証が求められているが、外交に関する情報の秘密指定によりイラク戦争にまつわる日本の政策判断の過誤を秘匿することになりかねない。

以上2点は運用基準によって回避できる問題ではなく、特定秘密保護法の廃止を含めた抜本的な見直しが必要である。

3).【別表第3号(特定有害活動の防止に関する事項)】について
①外国政府による秘密指定のない情報の取得によって罰せられる恐れ
イbにおいて、「特定有害活動の防止のために外国の政府等と協力して実施する措置又はこれに関する計画若しくは研究のうち、当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるもの」とあるが、海外で活動するNGO職員が、当該国政府が「特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置」が講じられていないために、意図せず日本政府が特定秘密指定している情報を入手することがあり、活動報告において当該情報を外部に発信することも起こり得る。かかるケースでNGO職員が秘密保護法違反で摘発されることを防止する措置が施されていない。また日本政府の本事項の規定が抽象的で曖昧であるため、そもそも何が特定秘密指定された情報なのかを知ることは困難である。
②防衛省による個人情報保護法違反が看過される恐れ
2003年にイラク戦争の反対する活動を行っていたNGO職員の個人情報が自衛隊の情報保全隊によって入手され、ブラックリストが作成されていた。この件で個人情報保護法違反の訴訟が起こされている。また、2008年アフガニスタンで活動するNGOの職員の個人情報を防衛省が保有していることが発覚し、現在当該NGOによる公開質問状が防衛省に提出さ れている。
(http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/data/20140219_afghan_final.pdf)
かかる事例において当該NGO及びNGO職員は不当にプライバシーを侵害されていると考えられるが、当該情報が特定秘密指定された場合別表3号の本事項または別表3号などその他の事項の適応であるか否かを知りうることが難しいため、プライバシーの保護を求める手立てが奪われた状態となる。本法律と運用基準が個人情報保護との整合性が取れていないという根本的な欠陥がある。

以上2点は運用基準によって回避できる問題ではなく、特定秘密保護法の廃止を含めた抜本的な見直しが必要である。

4).【別表第4号(テロリズムの防止に関する事項)】について
①紛争地で活動するNGOの安全対策上必要な情報が秘匿される恐れ
 上記(1)別表第1号(防衛に関する事項)とも関連するが、海外の紛争地において人道支援活動を行うNGOにとって「テロリスト」とみなされうる反政府武装勢力の活動についての情報は安全確保上極めて重要であるが、別表第4号の「テロ活動防止に関して収集した国際機関又は外国の行政機関からの情報その他の重要な情報」が特定秘密指定されることによって、事前に危険を避ける安全対策行動に重大な支障生じる恐れがある。また特定秘密指定さていない情報までが秘匿される恐れもある。生命の危険に関わる情報は基本的に特定秘密指定すべきだはない。また、たとえ特定秘密指定された場合でも、「取扱い業者」とは別枠で当該外国地域で活動するNGOや企業と情報共有の仕組み作るべきである。その場合は情報提供を受ける対象者は適正評価の対象とされるべきではない。

以上2点は特定秘密保護法の本質に根差す問題であり、運用基準の改善等によって回避できる問題ではない。特定秘密保護法の廃止を含む抜本的な見直しが必要である。

3.「Ⅳ適性評価の実施 1 適性評価の実施に当たっての基本的な考え方」について
【意見】
①適性調査対象者のプライバシーを侵害する恐れ
特定秘密を取り扱う予定の者について適性評価を行うにあたり、「1 適性評価の実施に当たっての基本的な考え方」はプライバシーの保護、基本的人権の尊重等の留意事項を定めている。しかし、基本的考え方に示された項目が厳格に実施される保証はなく、仮に規定に違反した場合の罰則が示されていない。 適性評価を行うに当たっては、適性評価対象者本人に関わる情報のみならず、その配偶者、同居人、交友関係等が調査の対象となる旨が特定秘密保護法には規定されている。国際協力NGOのスタッフが適性評価の対象となる場合はもとより、そうでない場合でも、適性評価対象者の家族・友人であった場合、適性評価による調査の対象となる可能性があり、プライバシーの侵害、基本的人権の侵害を受ける恐れがある。
②「公務所又は公私の団体」によるプライバシーの侵害を強要する恐れ
また別添2-2「公務所又は公私の団体への照会についての同意書」には、適性評価の対象者が「公務所又は公私の団体が私の個人情報を含む必要な事項を報告すること」に同意する旨が記載されている。行政機関の長が求める「必要な事項の報告」は広範にわたり、個人情報に関わることが盛り込まれていることから、行政機関の長による対象者のプライバシーの侵害がなされるのみならず、「公務所又は公私の団体」による個人情報保護義務の違反を強要することになる。本法律と運用基準が個人情報保護との整合性が取れていないうえに、対象者の所属団体に「密告」を促すことにもつながりかねない。

以上2点は特定秘密保護法の本質に根差す問題であり、運用基準の改善等によって回避できる問題ではない。特定秘密保護法の廃止を含む抜本的な見直しが必要である。

以上

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【パブリックコメント】「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」に対する意見
       2014年8月24日